HPの外国語対応状況から見える各フットボールクラブの戦略

外資流入ネタの豊富な海外フットボール市場。
外資が流入する一方で、彼らは新たな市場開拓の一つとしてHPの多言語化にも取り組んでいる。
そこで、海外のビッグクラブと目される14チームがそれぞれどの言語に対応したHPを運営し、重点市場はどこと捉えているのかを調べてみた(ビッグクラブの選定は今では解散してしまったG14のメンバーなどを参考に、ぼくのイメージをベースに)。

言語
チーム英語スペイン語イタリア語ドイツ語フランス語ポルトガル語アメリカ英語日本語中国語韓国語タイ語ロシア語アラビア語Total
プレミアリーグManchester United3
Chelsea4
Liverpool2
Arsenal3
リーガエスパニョーラReal Madrid2
Barcelona5
Valencia2
セリエAAC Milan5
Inter Milan3
Roma1
Juventus2
ブンデスリーガBayern Munchen1
Dortmund1
Leverkusen1
Total920001159511135
使用人口(1億人)5.14.31.31.92.41.210.82.82.6

さすがに英語ページはほとんどのチームで持っている。
英語ページを持っていないのは、A.Sローマだけ!
ドイツのチームは母国語+英語サイトばかりである一方で、バルセロナやA.C.ミランに至っては、母国語以外に5ヶ国語のサイトを持つ力の入れよう。
Arsenalがタイ語タイ語サイトを持っているのは「へぇ~」という驚き(Manchester Cityであれば納得)だったり、Barcelonaがアラビア語アラビア語サイトを持っているのはもっと驚き(個人的にはアラビア語サイトは今後需要あると思う)。
言語を軸に見ていくとこんな特徴が。
さすがに使う人の人口が多い中国語。
なんと9チームが中国語のサイトを持ち、中でもプレミアリーグenglandとリーガspainのチーム(調査対象のチームすべて!)が中国語サイトを持っていることに。
アジアツアーを行って中国マーケットの開拓に躍起になっているチーム事情を考えたら、中国語サイトを持つのは当然といえば当然か。
わが日本語サイトを持っているのは中国語を持つチームよりは少ないものの5チームで、韓国語サイトを持っているチーム数と同じ。
で、ここで面白いのがプレミアリーグのチームすべてが韓国語サイトを持っているのに対し、リーガのチームすべてが日本語を持っていること。
リーグとしての戦略なのか傾向がはっきりしている。
日本人にプレミアリーガーがおらず、中国人、韓国人がいるという理由も日本語サイトが少なく中国語・韓国語サイトが多い理由なのかも(Manchester Unitedが日本語サイトを持っているのは、Manchester Unitedのオフィシャルショップが日本にあることも関係?)。
とはいっても、日本人にリーガの選手がいるわけではないので、リーガの戦略はイマイチよくわからない。
ながらくヨーロッパフットボール界の人材供給元である南米(スペイン語・ポルトガル語)およびアフリカ(フランス語など)に対応したチームが少ないことは意外。
フランス語franceに至ってはゼロ!
アフリカ諸国の所得データなどからビジネスにならないと判断してHPを立ち上げていないのかどうかはわからないけれども、アフリカンパワーの活躍なくしての繁栄がないフットボール界としてはなんとも言えない状況。
翻ってJリーグ。
英語サイトを持っているのはJ1の18チームのうち9チーム。
韓国語、中国語サイトなど英語以外のサイトを持っているサイトは皆無。
サイトを持っていないから悪いというわけでないけど、ACLなどでアジアのチームとの対戦機会があることやJリーグオールスターが韓国と対戦するなどの事情を踏まえると、現状の海外市場に向けた取り組みは少々物足りない。
ファンの拡大、選手の獲得などの視点からアジア向けのサイトや場合によってはポルトガル語のサイト(対ブラジル)を作ってみるというのどうだろう。

コメントする