愉快なカリオカの街でサービスに出会った リオデジャネイロ 【10/18~10/24】

Sao PauloからRio de Janeiroへはバスに乗って移動。
両都市を結ぶバスが約30分毎に出発しているというのにぼくたちが乗ったバスは60%ほどの乗車率を記録していた。
バスに乗ってしばらくすると腹痛に襲われ(途中のサービスエリアではトイレにこもっていただけ)、その結果、Rioでの貴重な2日をホテルの部屋で過ごす羽目になってしまった。
Rioでの滞在を楽しみに1週間も時間を割いたぼくには悔しい限りだけど、一方で1週間も時間を割いておいたのは不幸中の幸いとでも言えるだろうか。
以下はRioでの滞在についてとブラジルという国に抱いた感想について。
【宿泊費は鬼のように高い!】
Rioの宿泊費は非常に高い。
シーズンオフに行ったぼくたちが驚いたほどなのだから、リオのカーニバルやクリスマスシーズンともなればその宿泊費は一気にさらに跳ね上がる。
ぼくたちはCopacabanaの隣のIpanemaに宿泊した。
このエリア、Rioの中でもハイソなエリアとして位置づけられており、ナイトライフも充実しているエリアでもある。
“Lonely Planet”に乗っていたホテルへ荷物を背負って向かって行ったところ(相変わらず、宿の予約ナシ)満室とのこと。
仕方なく近くの宿を紹介してもらったところ、ダブルで1泊150Realと。
日本でなら東横インに泊まれるような値段。
ホテルのランクも同じようなもの。
ということは、ブラジルは後進国として注目されていても、ホテルに関しては先進国なみの費用を取っていることとなる。
宿泊費の高さにびっくりしたぼくたちは紹介されたホテルに1泊泊まってみて、その後別の安宿へ移ろうとしたものの、ドミトリーのある宿でも大して安くなく移動するメリットはないことが判明。
結局6泊してしまった。
カーニバルなどのシーズンをはずしても宿泊費は異様に高いのでRioにはご注意を(ビーチでなく市街地であれば幾分安い宿が見つかるのかも)。
ぼくたちが泊まったHotel Vermont
vermont
Hotel Vermont
宿泊費:150Real(ダブル、シャワー・トイレ一緒、朝食込み)
【サッカーの聖地】
ブラジルといえばサッカー。
ひところ、日本からアメリカへの最強の輸出「品」と言えば野球選手だと某元外務大臣が言っていたけれども、ブラジルからヨーロッパへの最強の輸出「品」は今も昔もサッカー選手なのかもしれない。
今シーズンからレアル・マドリッドに加入したRobinhoをはじめRonauld、Ronaldino、Adrianoなど多くの選手がヨーロッパサッカー界の中で核となる地位を維持し続けている。
最大の輸出「品」の多くがプレイすることを夢見るMaracana Stadiumへ見学に行ってきた。
まずはロッカールームなどを見学。
このロッカーでセレソン(ブラジル代表選手)が着替えて、ウォーミングアップをする。
ロッカールーム内のトイレ
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かつて、約20万人の熱狂的なファンを収容しただけあって実に大きい!
今では座席が取り付けられたので10万人程度の収容にとどまるらしいけれども、日本のサッカースタジアムで10万人規模を収容するものはないことからもその大きさはずば抜けている。
これだけ大きなスタンドに囲まれたスタジアムでプレイしたいという若いブラジル人プレイヤーの気持ちがあるからこそ、ブラジルは今でもFIFAの世界ランキングで1位を保ち続けられるのだ。
巨大なマラカナ
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大声援!
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たまたま居合わせた人たちでファンの気持ちを体感。
さて、ぼくはどこにいるでしょうか?
【はじめて本格的な「サービス」に出会った】
Rioの観光名所の1つ、Corcobadoの丘へ行った。
Ipanemaからはバスに乗っていくことができる(市街を経由していくので随分時間はかかる…)。
バス停からはケーブルカーに乗って丘の頂上を目指すのが基本的な移動方法。
ただ、実はこのケーブルカーのほかに、丘のふもとから頂上に向けてバンを出すサービスを提供しているメンバーがいる。
ぼくたちはそのメンバーのボス(黒人)に、バスを降りると同時に声をかけられた。
「頂上までバンで案内するサービスを提供しているのですがいかがですか?ケーブルカーに乗るのと運賃は変わりません。さらにケーブルカーは本数が限られているので移動に時間がかかりますよ。それに、うちのサービスを使うと、コルコバードを絶妙なポジションで見ることだってできますよ。ケーブルカーは頂上に行くだけです」と。
ぼくはこの話を聞いて悪い気がしなかった。
そもそも、ぼくに声をかけてきたボスはいかつい体格をしているものの物腰は柔らかく、そこら辺の安売りを押し付けるような胡散臭さは持っていなかった。
ただ、妻はどうも乗り気がしない様子。
その様子に気づいたのか、ボスは「戻ってきて気に入らなかったら御代は要りません」とまで言うではないか。
南米を旅していて、「気に入らなかったら御代は要りません」というセリフは初めて聞いた。
ビックリ!
彼のサービスを受けることとしたら、ボスが脇にいるドライバーへ声をかける。
このドライバーたち、全員きちんと真っ白のワイシャツと黒の長ズボンを着ている。
短パンでポロシャツ姿の人がしゃがんで客を待っていたりするのが多く見られるケースだけれども、彼のチームは決してそのようなことはしていない。
きちんとワイシャツを着て立って待っている。
評価の基準は甘いだろうけど、南米の基準で考えたら余裕で「合格」。
ぼくたちは、サービスを十分満喫した。
丘の頂上でランチをとるといってもドライバーは嫌な顔せずに待っていたし、終始嫌な気分はしなかった。
極めつけ、それはバンを降りるときに、ドライバー自らCorcobadoの次の行き先をぼくたちに尋ね、その行き先へ向かうバスナンバーを教えてくれたことだ。
ボスがぼくたちに訊いてくるのであればある程度予想はつくけれども、ドライバー自らというのには驚き。
ボスの教育が徹底している証拠なのだろう。
バンを降りると、ボスが嬉しそうにぼくたちに近づいて、
「ツアーどうでしたか?次、どちらへいらっしゃいます?」とぼくたちに声をかけてきた。
「Maracana」と応えてタクシーを拾ってもらいたいことを言い、いくらくらいか?と訊くと15Realと即座に回答。
そして、さっとタクシーを捕まえ、タクシーのドライバーにぼくたちの行き先を告げて見送ってくれた。
Maracanaについたとき、タクシーのメーターは14.7Realを指していたとき、ぼくたちはすっかり彼のファンになってしまっていた。
Corcobadoに行くのであればふもとで待ち構えている黒人の話についていくのがオススメ。
決して損はしないはず!
Corcobadoの丘
corcobado
【場の雰囲気を読もう!】
ブラジルで有名な音楽のジャンルといえばサンバとボサノバ。
Ipanemaのとあるボサノバライブをしているバーへ足を運んでみた。
Heavy Metal命のぼくにとって、ボサノバは未知のジャンル。
照明が落ちたバーのステージで5人組のバンドが気持ち良さそうに演奏している。
周りはほとんどが欧米からやってきた観光客。
5曲ほど演奏を終えた辺りで、日本人の団体が店内へ。
彼らはステージ正面の席に通された。
10人ほどの団体でどうやらRioの駐在員が日本から来た人を接待している様子。
席に着くなり主賓に「飲み物何にします?」と演奏を妨げるような声で聴いている。
しかも、ステージ前をウロウロするものだからその後ろにいるほかの客にとって目ざわり極まりない。
とにかく、主賓のご機嫌をとることに一所懸命でステージから遠いほかの客は眼中にないご様子だった。
ぼくたちの隣のテーブルに座っていた欧米人の夫婦は少々あきれ気味。
日本人グループの中で一番若い人は、ステージの一番正面の席で船を漕ぎ出す始末。
これはあまりにも演奏するミュージシャンに失礼だし、もしも船を漕ぐのであれば車の中で待機するなりすればいいのにとぼくたち夫婦は思いながらステージを見ていた。
駐在員にとってはボサノバライブなんていつでも見られるのでどうでもいいかもしれないけれども、多くの客が観光客(彼らはいつも見られるわけではない!)という場所ではそれなりのマナーを持って楽しんでもらいたいな。
周りへの配慮なく接待ばかりにご熱心なのには激しく「?」。
大沢親分と張本に「喝っ!」と叱ってもらいたい。
【深夜のサンバスクールで放置?】
妻がせっかくブラジルに来たのだからサンバを習ってみたいと言い、ホテルから出ているサンバスクールツアーに参加することにした。
ホテルまでバンが22時にピックアップしに来てくれ、一路サンバスクールへ。
バンはいくつかのホテルに停まり、客をどんどん拾っていく。
日本人のぼくたちのほかは、ブラジル人、アルゼンチン人、ウルグアイ人。
ぼくたち以外は全員南米の人。
サンバスクールといわれるところへ到着。
「サンバスクール」とは全くのデタラメで、実際は来年のカーニバルの選考会。
サンバが見たいという妻の願いはどこへやら、ぼくたちは大きな体育館の中に放り込まれ、3時間以上もひたすら押しくら饅頭をしながらサンバの選考を見ることに。
もっと悪いことにぼくたちを案内したガイドはド素人なのか会場についてはまったくわからずじまい(トイレの場所もわからない)で、ぼくたちを会場に残してツアー終了までは外で待っているという始末…(Corcobadの黒人を見習え!)。
実はこのサンバスクールへの参加、ぼくはあまり気乗りしなかったので妻1人だけで参加する予定だった。
でも、どうも心配だったので一緒に参加したところ、上記のようなことだったので妻はぼくがいっしょにいてすごく安心したらしい。
そりゃ、ポルトガル語もスペイン語もできない妻が、あまりの熱気に失神して運ばれるような人がいるところに3時間も放置されたとしたら悪夢以外の何者でもないのは誰にでもわかるはず。
ホテルの「サンバスクール」とはいったい何をさしていたのだろうか…。
「サンバスクール」?の様子
samba
【ブラジルについて】
ブラジルへは初めて訪問した。
前回訪問しなかったのは、ポルトガル語が話せないこととブラジルだけ南米の中でビザの取得が求められていたから。
今回ブラジルを訪れてみて、前回ブラジルをスキップしたのは誤った選択だったとつくづく思わされた。
実は、ポルトガル語とスペイン語はそもそも国同士が隣り合っていることから大した違いはない。
スペイン語をある程度話せるのであれば、ポルトガル語は方言のようなものだし、文法なんてほとんど違いはない。
せいぜい、発音の仕方が違う程度。
だからか、「サンバスクール」に参加した非ブラジル人はスペイン語だけで十分会話ができていた。
実際ぼくもスペイン語を普通に店などで使っていたけれども意思の疎通について全く障害はなかった。
したがって、南米を語る場合、「ブラジルはポルトガル語だから」という妙な壁で判断するのは短絡的なのかもしれないと旅をして感じた。
繰り返すが、スペイン語と十分意思の疎通を図ることはできる。
Sao Pauloに滞在していたとき、ブラジルの大手航空会社Varigの日本便が年内に打ち切られるというニュースが現地の日本語新聞に大きく取り上げられていた。
ブラジルとは移民などで深い関わりがあるだけに(やっぱり一番大きな関わりはジーコジャパン!)、Varigの運行打ち切りは非常に残念であるし両国の関係に大きな障害とならなければと思う。
Sao Pauloのある人に聞いた話によると、Varigの打ち切りの裏にはアメリカ政府の存在もある模様だ。
というのも、Varigは現在LAX経由で日本へ飛行機を飛ばしているのだけれども、アメリカ政府はLAXで飛行機を乗り継ぐブラジル人乗客に対してですらビザの取得を求めているようであり、こうした状況を嫌ったブラジル人はVarigを利用せずにヨーロッパ経由で日本へやってくるようになっているらしい。
BRICs諸国の中でどこが最も有望か?と質問されたら、旅立つ前は「ブラジル!」と答えていた。
近隣諸国との比較的安定した関係もさることながら、豊富な資源、豊かな自然、地域でのリーダー的な役割を担っていること、世界で競争力を持った企業があること(航空機メーカーの中で世界第4位の売上規模を誇るEmbraer社の存在)などから上記のように考えていた(他のRICsはぼくの考える基準をどれか欠いたもの)。
ただ、今回訪れてみて結論を出すのは時期尚早な気がした。
とにかく、ブラジルという国は大きい。
地域によって雰囲気は大きく異なるし、ブラジルの標準レベルが何なのかを掴むことはすごく難しい。
国土の南側にはヨーロッパ(特にドイツなど)からの移民が多くすみ、北にはアフリカ系黒人が多く住み、Sao Pauloには数多くの民族が独自の文化を維持しながら暮らしている。
日本のような単一国家に住むぼくたちにはわからないことが多すぎるのだ。
とにかくこの国は複雑であるしだからこそすごく面白い国でもある。
今回の旅ではブラジルのほんの一部しかのぞけていないのは十分自覚しており、面白いと感じたからこそまた訪れたい(特に北部)。
根拠はまったくないが、ぼくは人生を通じて最低あと2回は旅行でこの国に足を運ぶと思う。
【その他写真】
Central Station
central station
日本でのブラジル映画への注目を一気に高めた映画”Central Station”の舞台。
遅れてる?!
atuzoko
日本では数年前に流行した厚底サンダルがブラジルでは流行中。
カリオカ娘も履いていた。
FIATが健闘
fiat
日本では影が薄いイタリアの自動車メーカーFIATが積極的に南米に進出。
広告にも力を入れている!
Jiujitu
jiujitu
格闘技ファンにとってブラジルは見逃せない国。
Ipanemaには柔術道場も。
Ipanema
ipanema
「イパネマの娘」が作られたレストラン。
観光客で大賑わい。
味はまあまあ。
「未知との遭遇」?
cathedral
こんな形をしていて実は教会。
映画「未知との遭遇」の山はアメリカのものであり、決してRioのこの教会でない。
建築天国
br
首都ブラジリアを設計したOscar Niemeyerなど著名な建築家はブラジルに多い。
写真はRioのBR社。
Santa teresaからの眺め
santa teresa
ガタガタの線路を走る路面電車に揺られてSanta teresaへ。
眺めのいいカフェでの食事はサイコー!
カリオカになるにはこれを読め?
carioca
カリオカになるための本。
結構笑える。
増加する在日ブラジル人
brasil
彼らが本国へ帰国しやすくなるためのアクセス確保は両国の関係強化に必要な方策の1つ。

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