富める者と病める者が共存するムンバイ ムンバイ 【12/1~12/3】

インドには学生最後の旅で訪れて以来だ。
前回はインド全土をじっくり周る予定だったけれども、食が合わなかったなどもろもろの理由から旅半ばで帰国してしまった(はっきり言うと、インドが好きになれなかった)。
だから正直言ってそのときは2度とインドは訪れないだろうと思っていたが、昨今のBRICs熱の高まりから「これは実際に足を運んでみねば」という妙な好奇心を奮い立たされ、かの地に再び降り立つこととなった(レポート『人を知りBRICsを知る』を弊社発表)。
前回の訪問では観光のゴールデンコースであるKolkataからDelhiまでしか周らなかった。
今回はビジネスにおいて高い注目を集めているMumbaiをはじめとした南部の都市を訪れた。
Mumbaiについて記す前に、IstanbulからMumbaiまでの移動についても記しておこうと思う。
US$1=2.3Rs(12/1現在)
【大いに期待を裏切った航空会社】
トルコからインドへは前々から注目していたEmirates航空を利用した。
この航空会社、とにかく勢いがありサービスの質の高さなどから世界でも高い評価を受けている。
が、はっきりいってぼくはこの航空会社のフライトを利用して大きく落胆させられた。
IstanbulからDubaiまでのフライトはとにかくひどすぎた。
何がひどいのかというとフライトアテンダントの質。
自分が何をすればよいのかわからないのか突っ立っているだけのフライトアテンダントがいたし(乗客が荷物をキャビンロッカーに上げようと苦労しているのを眺めているだけで、その乗客が格闘している間その後ろには長い乗客の列が)、食事が離陸してから2時間後に出た(遅すぎ!)と思えば、片付けられるまでに1時間以上もかかる(食後にトイレへ行きたい乗客のイライラは頂点!)。
機内の装飾、アメニティなどが充実していたとしてもあの質のフライトアテンドしか揃えられないのであれば、航空会社としての質は低いと評価されても仕方はない。
「もしも事故に遭ったらこの人たち本当に乗客を誘導できるんだろうか」と不安な気持ちでいっぱいにさせられてしまった。
なぜ、日本ではこんなに評価を上げているのだろうか?
マーケティング戦略のたまものなのだろうか。
DubaiからMumbaiまでのフライトに関してはまだ「マシ」だったけれども、IstanbulからMumbaiまでのフライトで受けた最悪なサービスの経験に引っ張られてぼくのEmirates航空に対する印象はどん底に落とされたまま。
残念。
名誉挽回してほしい。
Emiratesの機内食
emirates
食器は多くの航空会社で採用されている四角形のものでなく個性的。
【使い勝手最悪なDubaiの空港】
Emirates航空をけなし、今度はEmirates航空のハブ空港であるDubai空港についても苦言を。
Dubaiで乗り換えるために夜中の1時すぎに到着した。
さすが中東エリアのハブをめざすだけあって夜中にもかかわらず空港の中には大勢の乗客でにぎわっている。
にぎわっているのは立派なことだけれども、これだけ多くの人が快適にターミナルで過ごすことなんてこれっぽっちも考えていないのでは?というほど使い勝手は悪い。
発着便数、空港利用者に対してターミナルのキャパが狭すぎ。
だから次の便の出発まで待っている乗客の多くはベンチに座ることすらできず、地べたで寝るしかない。
近代的できれいなターミナルであるにもかかわらず、使い勝手が悪いのだから、却ってその印象は悪くて仕方がない。
まだ、古臭くて改善の余地があるのなら「仕方がない」という気がするのだが…。
Istanbulに続き、ここDubaiの空港内にもStarbucksが進出。
Starbucksはいらないから乗客が次の便までくつろげるスペースを提供するべきなのでは?
「ハコ」に力を入れすぎた悪い例を見せられた。
Dubai空港内のStarbucks
starbucks dubai
Dubai空港内で無料インターネットアクセス
samsung dubai
Dubaiの空港では無料でインターネットにアクセスできる。
ここでもSamsungの勢いを見せ付けられる。
【世界で最も残酷な都市】
Mumbaiに到着し、滞在予定のホテルを目指しタクシーに乗り込んだ。
タクシーの窓からぼくの目に飛び込んでくる風景は数年前にぼくが訪れたインドとさして変わらない。
車線がひかれていない道路を乗用車、トラック、オートリキシャーがわれこそはと前を争い割り込みあう。
そして道路わきでは裸足で道路工事をする作業員。
何も身にまとっていない子供がいるし、さらには高速道路であるにもかかわらず象がのっしのっしと歩いている。
信号で停まれば車の周りには本(海賊版!)を売る子供が営業にやってくる。
あいにくぼくたちが乗り込んだタクシーは冷却システムの調子が悪いらしく、ターバンを巻いたドライバーは何度も車を降りてはボンネットを開けて水を注いでいた。
そのたびに子供たちが寄ってきたのは言うまでもない。
ターバンをまいたドライバーを後方座席から激写
driver
ぼくたちが泊まった宿はColabaエリアに。
ビジネスエリアにも比較的近いが、どちらかというと観光客が集まるエリアといったほうが適切。
観光客目当てに夜中でも露店が開いている。
そして、やはりというか観光客からめぐんでもらおうと物乞いも。
インドの物乞いのレベルは違う。
今回の旅で訪れたPrahaなどの都市では五体満足でありながら単に仕事にありつけない物乞いがほとんどを占めていたものの、こちらインドでは身体的な障害を持った人ばかりなのだ。
「どうしてこんなにも身体障害者が多いんだ?」と思ってもおかしくないほど。
盲目の人、片足がない人、手のない人、手足のない人。
乳児のときに十分な栄養が与えられなかったために、発育に障害が生じたのかもしれない。
とにかくひどすぎる。
妻はこの様子を見て何度も「地獄絵図」だと表現していた。
まさにその通りだと思う。
それ以上の表現がぼくには見当たらない。
一方で英語の話せる高所得層たちは、障害を持った人や物乞いなどには目もくれない。
ぼくが過ごした宿の近くにはMumbaiで最も高級とされるTaj Mahal Hotelがある。
このホテル、Mumbaiで最高級に位置するものであり、ホテルのロビーにはMunbaiに住む高所得者をはじめ外国からの観光客で大賑わい。
Mercedes、Lexusでフロントに乗り付ける客が後を絶たない。
Taj MahalのクラブではBollywood俳優にならないかとスカウトされることを夢見る高所得層の子供たちが踊る一方でTaj Mahalのすぐ側ではホームレスは夜が明けるのを待つ。
ほんの数10mという距離の間には、果てしない階級の距離が横たわっている。
この光景こそがインドという国が抱えている現実であり、この現実を目にしてどう思うのか。
Taj Mahalホテルのフロント
tajmahal
高級車が横付け、そして付近では家のない人が夜明けを待つ
Mocha Barという現地の大学生たちの間で流行っているカフェへ足を運んでみた。
インドの金持ち家庭の子息が多くたまっていた。
保守的な社会として知られるインドにもかかわらず、店内では大学生カップルたちが抱き合ったりとまるで欧米のカフェかと思う(欧米のカフェでもしないか…)ほどのいちゃいちゃぶりを発揮していた。
そして英語での教育を受けている彼らは、これみよがしに店員に対して英語で注文をしている。
店員は英語が多少わかるものの、完全ではない。
そして英語が通じないとなれば「英語もわからないの?」というような上からものをみたような態度を取っている。
同じ国民にもかかわらず、そしてカースト制度が薄れているといわれている現代でも、インドでは「階級」意識というものは消えていないのではないだろうか。
「そんなに金を持って英語が話せるやつが偉いのか?!と言ってやりたかったが、言ったところで「金を持っていて、英語での教育を受けたやつこそがこの国と引っ張るのさ」という答えが返ってきそうだったので何も言わずさっさと店を出てきた。
とにかく複雑な気持ちでいっぱいだった。
人口のわずかの富める人がさらに富みこの国を引っ張っていくことがよいのか、富める者よりも貧しい者を救済し国の底上げを図るべきなのか。
今、日本では所得格差が懸念されている。
富める者の言い分、貧しい者の言い分それぞれあるだろう。
自分がいずれの立場に立とうと、インドの現実を目にした経験に基づき常に両者の視点に基づいたバランス感覚を保ち続けたい。
ぼくは資本主義経済という競争社会の中で戦っていくにはヤワなのだろうか…。
【Show me the money!!!】
インドは数学のスキルが高く、だからこそIT技術にも秀でているというのは既に多くのビジネスマンが知っていることだろう。
いくつかの書店を周ってみて、これほど数学コーナーが充実している国というのは確かに類を見ない。
そして、ビジネスへの関心も日本とは比べ物にならないほど高い。
街中の露店ではJack Welchによる”Wininng”などのビジネス書(海賊版)が売られ(マンガなんて置いていない!)ている。
もちろん、普通の書店でもビジネス書はもちろん、IT開発に関係するテキストなども多く発売されている。
Munbai空港の中にある書店でも客がもっとも目にするところにビジネス書を陳列している。
MBAへの関心も高いらしく、街中ではMBAに関する看板広告を目にしたほど。
また、PlanetMという全国チェーンCDショップでは、C.K.Prahadらによる講義を収録したVCDが販売されていた。
VCDによる教材
prahad
経営のテキストVCDのほかに金融取引に関するものも。
とにかく今、インド人の知識欲は高い。
中流階級の人が這い上がるためには教育という投資しかないという意識がこの国を支えているのだろう。
日本でも夜間大学院へ通うなどビジネスマンの知識欲は非常に高いが、インド人も日本人に劣らず大変高いことは確かだ。
教育こそが国の競争力向上の源泉だとぼくは信じている。
だからこそ、教育機関関係者には大いにがんばってもらいたい。
世界で認められる教育機関を日本で揃えられることこそが、世界で日本が勝つための絶対・必要条件!
【マクドナルドが進出】
ぼくが数年前にインドを訪れたとき、確かDelhiにしかマクドナルド(マック)はなかった。
それが今回の訪問では何箇所か目にした。
Mumbaiのマックへ足を運んでみた。
日本のメニューと異なる。
そりゃ当然だ。
ヒンドゥー教国のインドでは牛肉が食べられないのだから、日本で提供しているハンバーガーが食べられるわけない。
その代わりというわけではないが、チキン系のメニューなどが出されている。
正直言ってメニューにレパートリーは少ない。
インドでのマックはまだまだお金持ちのレストランにしか過ぎない。
店内を見渡しても、インドの富裕層か外国人しかいない。
インドではマクドナルドはまだ知名度の拡大を図る時期にあるそうで、もはや日本では行われないであろう「マックでお誕生会」をいうものを積極的に開催して知名度を向上しようとしているみたいだ。
インドの富裕層の子供の誕生会が、ぼくたちがマックを訪れた日に開催されるところで、子供たちは庭に集まっていた(男女が恥ずかしそうにバラバラに陣取っていたのがピュアでかわいらしい!)。
ぼくは日本のメニューにないコーラフロートを注文。
いやぁ、作り方がもったいない。
コーラをなみなみ注いでから(機械の設定による)アイス分のコーラを捨て、それからアイスを上から足しているのだから。
街中では物乞いが多くいるというのに、ここでは平気で無駄に消費されている。
Mcdonald IndiaのHP
Donaldはインド人?
macdonald
牛肉は使われていないインドのマックのメニュー
macdonald1
【欧米系金融機関が鼻息荒く進出】
Mumbaiの街中を歩いていて目に付くのがCiti bankなど欧米系金融機関の進出がとにかく活発だということ。
広告看板のみならず、店舗、ATMも積極的に街中に進出。
Citiのほかに、American Express、Standard Chartered、HSBCなど欧米のメジャーリテイルプレイヤーが積極的に展開している。
日本の一部金融機関が今年Munbaiに事務所をオープンしているものの、欧米系ほどの積極性は感じられなかった。
ここ最近の日本の金融機関はリージョナル指向が強いが、これでは市場の拡大を図りにくい。
日本は人口が減少していくと言われているのだから、なおのこと海外へ積極的に進出して将来のヘビーユーザーを獲得しておくべきだと思うのだが…。
積極的な展開をしているCiti Bank
citibank
Franklin Temlation Investments
ad munbai
煽っているなぁ。
【ぼくたちが泊まった宿】
Hotel Volga II, Rustam Manzil, 1st floor, Nawroji F Rd
Tel: 22824755
キッチンなし
インターネットなし
宿泊費:600Rs(ダブル、シャワー・トイレ共同)
シャワーは「お湯」でなく「水」。
宿の担当者は「24時間お湯でます」と訊いていないのに言っていたが、実際はお湯なんてでなかった。
出ないのなら言わなきゃいいのに…。
1階には欧米人旅行者の溜まり場となっているLeopardという名のレストランがある。
インドの物価で考えると少々割高であるものの、安心して食事がとれるという面を考えると割高なのも致し方なし。
Volga IIの前の通り
volga
Leopard
leopard
この建物の2階にVolga IIが入っている。
【Bollywood】
MumbaiはかつてBombayと呼ばれ、Bombayの映画産業はアメリカのHollywoodにちなんでBollywoodと呼ばれている。
残念ながらMunbaiの撮影所は一般に公開されていないらしいので見学には訪れられなかった。
備忘録として、Londonの古本屋で買った”The Moviegoer’s Companion”を参考にBollywoodについてまとめておこう。

インドで最初に撮影された映画は”Raja Harishchandra”(1913年)。
2001年には1,013本の映画がBollywoodのスタジオで撮影された。
脚本は4億人が理解できるヒンドゥ語かウルドゥ語で書かれる。
典型的なBollywood映画は6曲の歌、2つのダンスシーン、コメディ、恋、アクション、世代ギャップ、歴史的背景、きらびやかな衣装、そしてグラマラスな出演者が揃えられている。
平均上映時間は3時間以上(ドラマ『深夜特急』で主人公があまりにも長い映画の途中で退席すると爆弾犯と間違えられたのは有名)。
2001年現在インド全土で12,000ほどの映画館が存在しており、これは100万人あたり13の映画館があることを示し、人口比に対して世界で最も映画館が少ないことを示している。


【展覧会の写真】
メセナ?
hsbc munbai
「この場所はHSBCがメンテしています」
とにかく露出アップして知名度・高感度向上!
BSE
bse
Bombay Stock Exchangeはインドの中心的証券取引所であり、TSE(東京証券取引所)よりも深い歴史を持っている。
高いBSEのビルの周りには、金融の中心とは言いにくい雑踏が。
Mortgage Loanの看板広告
morgageloan
バスの車体にまで広告。
英語の読める人はMunbai市民の何割なんだろうか…。
iPod in Munbai
apple india
iPodも広告
Kingfisher Beer
kingfisher beer
インドではKingfisher Beerが1人勝ち。
あっさりしていて飲み易い。
辛くないのがなによりも良い。
お酒に強くないぼくでも中瓶を余裕で飲み干せる。
飲み易さが手伝ってか、1人でピッチャーを飲み干す兵も少なくない。

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