大洪水の被害のせいか歓迎ムードに欠ける街 チェンナイ(マドラス) 【12/10~12/13】


ChennaiはぼくたちがBangaloreにいた頃に大洪水に見舞われたため、訪問するかどうかという判断には非常に困った場所だ。
同じ時期にChennaiでクリケットの試合が開催されるとのことだったが大洪水のために延期され、その件に関しテレビで必死に「延期するべきか強行開催するべきか」を討論していたのはいささか奇妙に映ってしまった。
けれども、注目を集めているインドという国を知るためには少しでも多くの都市を見ておきたい、Kingfisher Airlines(インドを訪れた目的の1つ)を利用したいという気持ちがあったことから結果的にChennaiを訪れることとした。
幸いにもぼくたちは雨に降られることはあっても洪水になるほどの被害を受けるまでにはならなかった(妻は体調不良というインドの洗礼を受けていたが)。
なお、インドのいくつかの都市は改名しており、ChennaiもかつてはMadras(こちらのほうがなじみがある)と呼ばれていたことを付け加えておこう。
【なぜ”I’m sorry”と言えないのか?】
Chennaiの宿探しでは随分といやな思いをさせられてしまった。
旅しているといろいろな出来事に遭遇しそれがまた楽しかったりもするのだけれど、Chennaiで出会った出来事は後味が悪すぎる出来事だったことは否定できない。
Chennaiの空港に降り立ったぼくたちは、タクシーに乗り込み目星をつけたホテル(相変わらず予約なし)を目指した。
ホテルに到着して宿泊したい旨を伝えるとあいにく満室だとの回答が返ってきた。
親切にも系列のホテルがあるのでそちらを紹介してくれるとのこと。
ぼくたちは重い荷物をオートリキシャーに積み込み(Chennaiのオートリキシャーはメーターではなく交渉を通じて値段が決まる)、紹介されたホテルを目指した。
部屋を見せてもらったところそれほどぴんとこなかったものの、重い荷物を持ってまたオートリキシャーに乗り込み運賃交渉をするのが億劫だったことからしぶしぶ泊まることにして宿泊費を支払った。
が、この決断は大きな間違いだった。
フロントでチェックインの手続きを済ませ、とりあえずの2泊分の宿泊費を払ったぼくたちは、ポーターが運ぶぼくたちの荷物の後をついて部屋へ向かった。
部屋に着きゆっくりしようとしても、荷物を背負ってきたポーターは部屋から出ようとしない。
ましてや部屋の中に閉じこもり外から様子が見えないよう扉を閉める。
ホテルの壁には「ポーターにはチップを払わないでください」と大きく張り紙がしてある。
なのに、彼らはチップを貰うまで部屋を出ようとはしない。
埒が明かないので心ばかりのチップを渡したところ、「もっと寄こせ」と調子に乗る。
「サルが餌をねだるんじゃないんだからとっとと出ろ」という気分で追い出すが、あまりにも不愉快なのでフロントに「ポーターの行儀が悪すぎるので、あんたの宿には泊まりたくない。だからさっさとさっき払った宿泊費を払い戻してほしい」と言うものの、フロントはフロントで「うちのスタッフがお客様に不快な思いをさせて申し訳ございません。わたくしめから指導しておきますので、どうかお許しください」というわけでもない。
「ノープロブレム、ノープロブレム」を繰り返すだけで、返金には応じようとしない。
「領収書を起こしたんだから返金はできない」と自己都合のことしか言わない。
とうとう、こちらの堪忍袋が切れそうなのを察したのか返金には応じるとのことで事態は収束に。
返金してもらって宿を替えるという結果は覆らなかっただろうけど、一言フロントのマネージャーの「申し訳ありません」という一言でもあればまだ後味は悪くなかっただろうに。
もしChennaiに行く機会があったとしても件のホテルには泊まらないし、ましてや紹介してくれた系列のホテルに泊まることもないだろう(系列のホテルは期待度が高かったけど…)。
企業が不祥事を起こしたときにいかに消費者の怒りを増大させず最小限に抑えることが重要か。
1つの企業で複数ブランドを持っているときは特に被害が飛び火するのをいかに抑えるかということは直接的な被害を抑えるのと同様に重要な取り組みでもある。
【うんざりお土産屋】
Chennaiのオートリキシャーの運賃は、いやなことにメーター制でなく交渉制。
乗車前にオートリキシャーのドライバーに行き先を言い、行き先に基づいて運賃を交渉するという仕組み。
この仕組み、急いでいる人にはわずらわしいことこのうえないし、ぼくたち外国人旅行者にとっては格好のボラれポイントでもある。
距離感がないとすぐにボラれてしまうから、標準的なオートリキシャーの運賃は早めに把握しておいたほうがよい。
ここChennaiのオートリキシャーは運賃が交渉制というだけでもわずらわしいのに、さらに乗車前のわずらわしいイベントが待ち構えている。
それは「運賃はいらないからお土産屋に寄ってくれ」というドライバーからのお願い。
ドライバーは外国人観光客をお土産屋に連れて行くごとに、店からマージンを貰う仕組みで運賃を貰うよりもお土産屋からマージンを貰うほうが割はよいためこのような交渉を臨んでくる。
観光客が店で買い物をする必要はなく、とにかく店に行けばドライバーの懐が暖まる仕組みらしい。
オートリキシャーに無料で乗れるという特典があるものの、彼らドライバーは少しでも多くのお土産屋へ観光客を連れて行ってマージンを稼ごうとするため「3軒回ってほしい」と言ってくる。
もちろん交渉不成立にして他のドライバーと交渉することはできる。
ただ、ぼくのときは周りに他のオートリキシャーがいなかったので交渉は対等の関係で行われた。
交渉の末、1軒だけ周って運賃はタダにしてもらうことにした(勝負でいうと「引き分け」か)。
しぶしぶ行くものだから当然お土産屋では心ここにあらずという有様。
ドライバーが「買わなくてもいい。とにかく5分だけいてくれればいい」というものだから、ぼくは5分だけ言い寄ってくる店員を横目に店内で商品に関心がある「フリ」を一所懸命にした。
そして、商品に関心がある「フリ」をしながらも、こんなことを思ってしまった。
「買う気のない人を無理やりこさせてスタッフが相手にし、さらにオートリキシャーのドライバーにマージンを払うなんてなんて無駄が多いビジネスの仕方しているのだろう」。
こんな商売の仕方をしていたら商品の価格は高いに決まっているし、買いたい気持ちになんてなれない。
こういうお土産屋のビジネスの仕方はアジアを旅行しているとよく目にする。
ぼくはまったく関心できないし、たとえぼくが買い物好きだとしても、そして店によい品物がおいてあったとしてもそこで買うことはないだろうな。
1軒目を見終わった後ドライバーが「2軒目も行こう」と言うので、「話が違う」と怒って(怒ってばかりだなぁ)降りるとぼくを必死に追いかけてきて「1軒見てもらったので宿へ送る」と言った。
一応、格好つけておくと、1軒だけみて無料にしてもらうのはドライバーに気の毒だったので心ばかしのお代を払っておいた(ドライバーがこの件から何かを学んでくれればいいのだが…)。
【波打つように激しくなまるインド人の英語】
インドはイギリスの植民地だったということもあり大概は英語が通じる。
オートリキシャーのドライバーだって最低限の英語は話せる。
英語を話す人が多いこともあり、インドには欧米企業のコールセンターが積極的に進出していることは有名な話。
ぼくはコールセンター誘致に関する仕事に携わったことがある。
コールセンター誘致にあたって重視する点の1つに「なまりがないこと」というのが進出企業側のリクエストとして多く挙がっているという調査結果を導いた記憶がある(なまりがなく人件費の高くない北海道にはコールセンターが多い!)。
インドは確かに人件費が安い。
それに英語力はかなりのもの。
でも、なまりがひどいというかなんというか。
ラテン系とはまた異なる巻き舌アクセント。
ニュースなどのテレビ番組でもインドなまりの英語で話しているのだから、なまりが直るのはそう簡単ではない(日本ではNHKが標準語で話していることもあり方言のなまりが次第に消えつつある)。
このなまりの存在は、もしかしたらインド経済にとっての障害になるかもしれないし、なまりなんて関係なくインドは引き続き高成長を続けるのかもしれない。
確か、インドにコールセンターを設置している企業の顧客満足度が軒並み落ちているというデータをいつしか見たような記憶がある(不確か)。
この満足度の低下は「サービスマインドの低さ」によるのか「なまりによるコミュニケーション障害」なのかまではわからないものの、今後インドが世界のアウトソーシング先として競争していくのであるなら改善すべき大きな課題なのかもしれない。
コールセンターはバックオフィスと位置づけられているけれども、ときとして強力な営業部隊にもなりうるとぼくは思っている。
苦情で電話したのに、オペレーターの印象がよかったために却ってファンになってしまうことがあるというエピソードは有名なくらいなだから。
企業がコールセンターはフロントオフィスとみなし、コストセンターとみなさなくなったとき、インドはエンドユーザー向けのアウトソーシング先として生き残っていけるのか、これは注目したい今後のテーマの1つだ。
【No Indian!!!】
上記の通り宿探しには苦労した。
インド人にうんざりしていたぼくたちは、”No Indian”というポリシーを貫き、それが旅行者に受けているBroadlands Lodgeに泊まることとした。
宿泊費が高くないのがよい。
ダブル(トイレ・シャワー付き)でも1000円しない。
あいにくシャワーはお湯が出ないけれども、インドに10日以上滞在すれば割り切れるというもの。
共同トイレ・シャワーもきれいにされている。
インド人と同じ宿に泊まってイヤだと思ったことは、トイレがすぐに汚されてしまうこと。
彼らは早くからウォッシュレット(機械ではなく手によるもの)を導入しており、お尻を洗った水がトイレのあちこちに飛び散ることが多い。
その水がどうも心地よくなかった。
”No Indian!!!”というポリシーの宿なら共同トイレは汚れずに清潔に保たれているから快適そのもの。
宿の中ではインドの旅に疲れた欧米人がのんびりと疲れを癒していた。
Broad Lands
18, Vallaha Agraharam Street, Tripricane, Chennai-600 005
Tel: 0091-044-28545573
Fax: 0091-044-28548133
Mail: broadlandshostel@yahoo.com
キッチンなし
インターネットなし
大型テレビが共用スペースに設置
宿泊費:300Rs(ダブル、トイレ・シャワー共同) 350Rs(ダブル、トイレ・シャワー付き)
※ヨガ教室あり(スタッフに要問い合わせ)。
Broad Landsの中庭
broadlands
Broad Landsの部屋からの眺め
broadlands1
インドなのにモスクが近くにある(実はイスラム教信者もインドには多い)
【インドはイギリスの植民地だったからな】
安宿に泊まって楽しいのは、海外から来た旅行者の意見が聞けるということ。
Chennaiで泊まった宿には欧米人がたくさんおり、彼らの会話の中で面白い本音を聞きだすことができた。
それは、あるイギリス人男性が堂々と「インドは植民地だったからな」と公言していたこと。
日本人がこんな発言を東南アジアや東アジアでしようものなら大きな問題となるのに、インドでは特に気にされるわけでもなく、むしろインド人は英語を話そうと一所懸命になっている。
もちろん、周りには英語のわかるインド人がいたのに問題にならなかった。
イギリスの植民地だったことがインドの財産の1つだと解釈すれば、インド人が怒らないのもあながち不思議でない(内心、ふつふつとイギリス人め、今に見てろとでも思っているのだろうか)。
【学力レベル・向学心は侮れない】
書店めぐりが好きなぼくは、数学のテキストにも目を通した。
日本とは異なる独特な教え方が印象的であり、そのレベルの高さは文系出身のぼくでも容易に想像がつく。
露店の店主であっても、暗算は早い。
計算機というコストの発生するものには頼っている場合でないため、必然的に暗算に頼るしかない。
一般的な計算能力に関していうなら、日本人よりもインド人のほうが優れているだろう。
アメリカ人のようなお釣りの計算(あくまでも足し算で計算する方式)は知恵といえるもののどこか稚拙な印象を抱いてしまうのはぼくだけだろうか。
数学は思考力を鍛えるのによいとは昔から言われているけれども、ぼくは数学こそ記憶力を鍛えるのに格好の学問だと思っている。
たとえば「九九」。
これなんかまさに記憶に頼る部分が大きい。
小学生のとき、何度復唱させられたことか。
この「九九」をインド人は2桁まできちんと覚えている。
小学生向けのテキストでは、きちんと覚えるためのシートが準備されている。
基本的な部分はしっかりと体にしみこませて考える部分に時間を費やす。
もちろん、基本的な部分で間違っては考えがいくら正しくても正しい解は導けないので、基本は反復学習を通じてみっちり体にしみこませる。
この姿勢は何をするにしても大切だと思う。
ビジネスだって同じだ。
そして向学心は非常に高い。
空港の書店でもビジネス書が前面に押し出されており、その比率も日本と比べると随分高いのでは。
書店に足を運ぶと、難しそうなビジネス書が山のように積まれているし、カフェで休憩しようものなら隣で大学生がMBA留学を目指しGMATなどのテキストと格闘している。
インド人が基本をみっちりと身につけるという教訓を活かし、向学心を燃やして吸収した知識を存分に活用するときこそ、本当の脅威として立ちはだかるだろう。
【インドという国への印象はかわったか?】
Mumbai編でも書いたとおり、前回のインド訪問では「インドが嫌いで2度と訪れない」という感想だけを持って帰国した。
今回は世界で注目されているBRICsの1つインドを知りたいという気持ちから訪問した(ぼくは現場主義!)。
なお、BRICsのすべてを訪問すべきだという意見もあるだろうけど、自分の中で一定の線引きをしたところブラジルとインドをマークしておくという結論に達したのでBRICsの中ではこの2国しか訪れなかった。
では今回の訪印によってインドへの印象は変わっただろうか。
まず訪れた場所が異なるので純粋な比較にならないだろうけど、当blogで文句ばかり書きたてているものの少なくとも前回よりもインドに対する印象はよくなった。
自己中心的というか日本では考えられない非常識さを持った人がいて戸惑うことは多いものの、インド人が寄ってきてお土産を売りつけようとしてくるといったことはほとんどなかった。
ただ、オートリキシャーに乗っていても感じることだが、とにかく自分が儲ければいいという気持ちが強いというのも事実。
客がどう感じるかというモノの見方、責任感(連帯責任)はいささかまだ不十分な印象を持った。
横の連携に問題があるのは、古くからインド社会に根付いているカースト制度のせいなのかもしれない。
ならば、カースト制度の存在がこの国の今後の経済発展を引っ張る要因とならなければよいと思ってしまうのは安易な考えだろうか。
たとえばChennaiからSingaporeへの移動の時の話。
ぼくたちの利用した飛行機は何らかの理由から出発が数時間遅れた。
理由がなんだかさっぱりわからない。
カウンターで訊いても”I don’t know.”の一点張り。
“I’m sorry. I don’t know”だったらまだマシなのだけど。
説明責任というものがあるだろうし、「私の職務では知るわけないでしょ」という態度は問題が大きいと思う。
そして、飛行機に乗ってもフライトアテンダント、パイロットからも「出発が遅れて申し訳ありません」の一言もなかったのは、3分でも電車が遅延したら「申し訳ありません」としつこいくらい車内アナウンスする日本で暮らすぼくたちにはビックリだった。
能力面では優秀ながらも価値観では日本人と大きく異なるインド人とビジネスする場合には、十分に準備をしておく必要があるポイントだろう。
一方、Broad Landsのスタッフとよい関係が築けたことが今回の旅の収穫であり、インド人への印象をよくしてくれた出来事の1つでもあった。
インドの旅に疲れたのであればこの宿を使うことをおすすめしたい(ぼくの名前を言えば悪くはしないはず)。
【展覧会の写真】
積極的なCM展開をするBA
ba
ba2
外資系航空会社は積極的にインドへの直行便を飛ばしている。
Continental AirlinesもNew Yorkからインドへ直行便を就航させたることを発表。
やはりSamsungがここでも
samsung chennai
シンガポールへいらっしゃい
visit singapore
政府観光局の広告はどこでも多く目にした。
インドにとって身近な都会はシンガポールらしい。
もしかして、シンガポールに建設予定のカジノの客はインドの大富豪となるのか?
インド人の憩いの場 Shopping Mall
shopping mall
インドでは今、大型Shopping Mallがホット
TATA Motor
tata
インドの国産車TATAは街中で多く見かけられる
インドを知るためのオススメ本


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