『そうか、もう君はいないのか』

城山三郎の『そうか、もう君はいないのか』を読んだ。
経済小説は何冊も読んできたぼくだけど、なぜか城山三郎の作品は読んだことがない。
さて、今回読んだ本、城山三郎と奥さんの出会いから、奥さんが亡くなるまでの記憶をたどった作品。
何十年も連れ添った妻が先立った寂しさが、驚くほど淡々と綴られている。
東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』が、おかんが亡くなるまで、そして亡くなってからのぼくの気持ちをこれまでかと綴っていたのに比べると、驚くほど亡くなる話は淡々としている。
亡くなったという事実から目をそらしたいかのように、亡くなる時期の話が淡々としたところは、分身を亡くした寂しさをむしろ際立たせている。
この作品は、おそらく結婚していない人にはおそらく気持ちがわかりにくいはず。
だからこそ、まずは結婚した人に読んでもらいたい。
結婚をしていない人は、ぜひ結婚してから。
ぼくの考えた名言の中でも秀逸なものがこれだ。
ぜひ、心に刻んでほしい。
「結婚とは、人生の中で唯一自分の家族を選ぶことができるイベント。」
権利を行使し、自分の選択に責任を持って相手を大切にすることことも人生と思うのは少々大げさ?
ぼくだったら、この本はいずれ生まれるかもしれない自分の子に送りたい。
間違えても妻には贈りたくない。
なぜなら、小恥ずかしいから!

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