経営者、ハンドル越しに東京の今を綴る 『タクシー王子、東京を往く』

タクシー王子、東京を往く。―日本交通・三代目若社長「新人ドライバー日誌」』を読んだ。
社長自らハンドルを握って日頃の運転手の立場に立つという点で、「立派な社長だ!」といった評価されるなどビジネス書として人気を博しそうな本作。
ただ、ぼくはビジネス書というよりむしろ、現代の東京という大都会を社長自らハンドルを握ることで気付いた様々な喜びや問題点を提示した作品と捉えて読むのも面白い読み方なのでは?と思った。
たとえば、東京の人は礼儀正しいとか、外国人が増えてきているとか、東京の玄関口である成田があまりにも遠すぎるなど、東京に住む人には当たり前のことではあっても、タクシーの乗務経験から見たこれら気付きは幾分新鮮にも感じられた。
正直、ぼくはほとんどと言ってよいほどタクシーを利用しない。
タクシーを利用するほど急ぐ用はないし、地下鉄など東京の交通には慣れているし、不確実な道路のほうがリスクが高いとも思っているから。
でも、本作を読んでみて、川鍋社長の経営する日本交通のタクシーってどんなのなんだろうか?と興味を持ってしまった。
しかも、どうせなら日本交通専用タクシースタンドから乗ってみたいという気持ちがムクムク湧いてきた。
本作は日本交通にとってはこれ以上ないプロモーションツールとなると言っても言いすぎでない作品だと思う。

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