新潟県のネーミングライツ騒動について

新たにオープンするハードオフエコスタジアム新潟(新潟県立野球場)について、某メディアから昨日(日曜日!)コメントを求められた。
電話インタビューで音声がそのまま使われるとのことだったものの、こちらの滑舌の悪さかトークの悪さが原因なのか音声は使われずコメントも特に紹介されていなかった。
取材依頼を受けて、今回のケースについて少々メモにまとめてみたので備忘録として残しておこうと思う。
ハードオフエコスタジアム新潟(正式には 「HARD OFF ECO スタジアム 新潟」)に決定するまで、漫画家・水島新司さんの作品にちなみ「ドカベンスタジアム」にしようという動きがあったものの、知事の方針によってネーミングライツを新球場に導入することが先日発表され募集を受け付けていた。
ハードオフ社を含む3社が応募し、他の2社は募集条件(下記参照)にほぼ従う形の契約条件を提示したが、ハードオフ社だけが飛びぬけてよい提示を行い成約に結びつけた。
今回の論点はネーミングライツを導入するのと、「ドカベンスタジアム」にするのとでどちらが新潟県にとって有益なのかということだろう。
結論からすると、どちらをとっても一長一短はあるわけで、一概にどちらかが優れているわけではない。
ネーミングライツを導入した新潟県にとってのメリット。
ハードオフの応募によって、年間3000万円×5年間の収入を確保できたこと。
建設費用などを考えると規模は微々たるものではあれど、財源確保に苦しむ自治体にとっては決して侮れない金額である上に、当初の募集条件(年間1500万円以上×3年以上)を大きく上回る条件の提示。
同県には三條機械スタジアムがあり、そちらの契約は1000万円×3年間(プロ野球のウエスタンの試合が開催予定)であることを踏まえると、ハードオフエコスタジアムは新潟県にとってはよい成果を生み出せた媒体なんじゃないだろうか。
「ドカベンスタジアム」にした場合の新潟県のメリット
確かに歳入は確保できない。
けれども水島さんとのタイアップを通じて球場内に資料館を設置(財源の話は要検討)し、観光客を呼び込む手もある。
地域活性化、地域ブランドの構築という財源確保とは異なるより長期的なメリットを見出すこともできる。
上記のように、ドカベン推進、ネーミングライツ推進双方にとってメリットが見出せ、両者を比べた場合にネーミングライツ導入を施設運営者たる知事・自治体が決定した判断は尊重してしかるべきだろう。
そして、何よりも募集条件よりもよい条件での締結に至った点が大きく評価できる。
もし、募集条件を下回る条件での締結であれば「ドカベンスタジアム」のほうが良いのではとの声がもっと大きくなり、誰のためのネーミングライツなのかが見失われるところだった。
最後に、ハードオフにとってのメリット。
2009年シーズン中にプロ野球公式戦が予定されている、また2010年プロ野球オールスター開催が予定されるなど、集客力のあるイベントが組まれていて同社が望む露出向上に一定の期待が持てること。
新設球場ということもあり、比較的新しい名前が浸透しやすいこと。
景気の悪化というリサイクル・リユース企業にとって追い風の吹く時期に、同社の成長を加速させる格好の広告媒体が入手できたこと。
やりとりのまずさでミソをつけてしまった今回の案件ではあるものの、結果的に新潟県にとっては期待以上の条件での成約に結びついたことがなによりもの成果だろう。
新潟県・ハードオフが「ドカベン推進派」をも納得させられるような成果を挙げられるか、これからの動きに注目だ。
間違っても、契約期間途中で解約というトホホな結果に終わらぬよう期待したい。
【参考】
資料1.新潟県:新潟県立野球場ネーミングライツスポンサーが決定しました
資料2.新潟県:新潟県立野球場ネーミングライツスポンサーを募集します

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