新たな「20:80の法則」の誕生 『グーグル Google』を読んだ

梅田さんの『ウェブ進化論』がバカ売れし、将来のインターネット社会に対する関心が高まる中で、長い間インターネットをウォッチし続けてきたジャーナリスト佐々木さんが『グーグル Google』を出版した。
『ウェブ進化論』が先にリリースされて、ぼくの頭の中がきれいに整理されたという印象が強かっただけに、気の毒ながら『グーグル Google』への印象はさして強くなかった。
先行者こそが利益を享受できるというネットの法則がここでも当てはまるのだろうか。
Web2.0を示すキーワードでホットなものの1つに「ロングテール」があり、これは「パレートの法則(20:80の法則)」と絡めて説明されることが多い(それぞれの言葉についての説明は省略)。
まさにこの作品も違った意味での「20:80の法則」が当てはまるのでは?と思わされるものだった。
というのも、昨今ネットが発展してさまざまな情報に触れる機会が多くなっていることで、本の中で書かれていることがあまり新鮮ではない。
「ん?どこかでみた記述だな」と思ったら引用されているものであったりと、オリジナリティという部分は薄く作品の80%はそれこそ引用なり誰かがどこかで言っているような内容と感じさせる部分。
80%でいかに的確なものから引用してわかりやすい主張の基礎を築き、残りの20%の部分にオリジナリティを発揮するかが最近の出版における勝負どころかと、本を読んでいて感じた。
内容自体は『ウェブ進化論』と比較してわかりやすいだろう。
おそらく佐々木さんが『ウェブ進化論』を読んで、この部分は専門的過ぎるか?と思ったりしてもう少しレベルを落としたのかもしれない。
前半部分はわかりやすく展開されていると思う(事例について的確かはさておき)。
そして佐々木さんのオリジナリティがいかんなく発揮されているのが5、6章。
全体の分量からすれば40%程度に相当するので、ぼくのいう「20:80の法則」というのは当てはまらないのかもしれない…。
ただ、いずれは、「20:80の法則」が出版物の構成という世界でも当てはまっていくのでは?と勝手に予想してしまう。
今回、ぼくが新鮮に感じなかったのは佐々木さんの『検索エンジン戦争』や『ザ・サーチ』を読んでいるというのもあるかもしれない。

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