フルキャストの不祥事により、契約半ばにもかかわらずこの秋から楽天の本拠地(フルキャストスタジアム宮城)の名称が変わる可能性が生じてきた。
かくいうぼく、ネーミングライツのリスクにおいては施設運営者よりもスポンサーに大きなリスクがあると認識していたクチなので、こうもスポンサーによる不祥事によって施設運営者がリスクを背負うようになるとは思いもしていなかった。
※アメリカではエンロンの破綻という事例がありますが(この辺りについては弊社発表資料『日本にネーミングライツを浸透させるために』をご覧いただければ)。
こうした不祥事が発生する理由は何か?
色々と挙げられるだろうけど、敢えて1つ挙げるとするならばネーミングライツの募集時点における施設運営者(募集者)側のノウハウ・努力の欠如。
最近、ネーミングライツの導入を決める施設運営者(自治体)が多い。
極めてマイナーな施設にまでネーミングライツの導入を発表し、「誰もスポンサーが手を挙げてくれなかったので募集期間を延長します」という結末に至るケースが多い。
事実、契約金額は年々下落傾向にある。
こうしたケースの多くの原因は、ネーミングライツの魅力・活用法を十分に理解できていない施設運営者が、そもそも自分たちに募集ノウハウが十分備わっていないにもかかわらずに「コスト削減」という名目の元に無理に自分たちで手がけようとする点にある(だから身の程に合わない契約額を提示してしまったり…)。
したがって、スポンサーを獲得することもできず半ば随意契約のような形(本来は入札形式で募集しているのに…)で契約を結び、本来はスポンサーの選定を行うべくして結成されたネーミングライツスポンサー協議会が機能するまでもなくスポンサーが決定されてしまう。
もしも、競争入札のような形で数社のスポンサーが名乗りを上げて、苦し紛れのスポンサー選定が行われなければネーミングライツはより健全な方向に向かっていることだろう。
既存のスポンサーに弊社にてアンケート調査を行ったところ(アンケート結果などは弊社発表の有料レポート『ネーミングライツのいま -スポンサーの声からこれからを考える-』に掲載)、ネーミングライツの導入に当たっては施設運営者の募集体制に問題があるとの声が最も多かった点は見逃せないし、ここを改善しない限りはネーミングライツビジネスが発展する余地は少ない。
100万円程度のネーミングライツを募集する施設運営者の方々、ネーミングライツ以外に財源確保の方法、支出削減の方法はないですか?
数1,000万-数億円であればネーミングライツの導入価値はあるけれども、少額であれば他の手段を検討するほうが賢明かと思いますよ。
何のためにネーミングライツを導入するのか?
ネーミングライツを導入することでスポンサーとどのようなwin-winの関係を築くことができるのか?
少なくとも上記2点はクリアにしてから募集をかけるべきでしょう。
でないと、なんのためのネーミングライツなんだ?!と納税者からお怒りを受けるかもしれません。