不況脱出を遅らせる日本人の"情"

不況だ、不況だと雇用調整の話題ばかりがニュースを賑わすこの頃。
日本を代表する大企業の正社員も解雇される時代ということもあって、新たな投資などを控える企業が続出している。
広告媒体の販売を手がけるぼくも、営業活動の中で企業の消極性に悩まされている身の1人だ。
提案活動を行うと決まって出てくるお断りの言葉に「こういったご時世なもんで・・・」。
はっきりと「弊社にその商品は魅力が感じられません」と言ってもらえるほうが気持ちいい。
確かに社員を解雇したりしている中で効果があるのか疑わしい広告に費用を割くのはどうもという考えには理解できる(無駄なものはどんどん削減すべきだという考えには大賛成)。
けれども、効果が期待できる広告であっても「こうしたご時世だから」と断るのは少々いただけないとも思う。
解雇された社員のことを考えると広告支出や新規投資は忍びないというキモチから新たな一手を控えるのと残された社員を守るために今こそ攻めねばと思うのかが不況脱出の大きな違いであり、日本人が不況から脱するための大きな障害が”間違った情”だと思う。
過去にとらわれた情か未来を見据えた情か。
かつて日産が復活したとき、カルロス・ゴーンさんは大鉈を振るった。
ゴーンさんは、解雇する社員に対して業績が回復したら再雇用すると約束し、一方で新車を続々と投入するなど積極的な投資を行った。
多くの日本人はその当時のことを既に忘れてしまったのではないだろうか。

コメントする