4月から有料電子版を開始した日経。
少ないサンプルデータではあるものの、ぼくの周りで電子版を有料購読しているという人にお目にかかったことはない。
ネットでニュースを見るならヤフーぐらいで、紙の新聞社が運営しているサイトを直接見に行くことはほとんどないぼくにとっては、ヤフーからのリンクすら受け付けていない日経のサイトを見ることはよっぽどの目的がない限りはない。
きっと多くの人も同様なのでは。
ふと、鳴り物入りで開始した日経の有料版のアクセスが朝日、読売と比較してどの程度のものかを知りたくてalexaを使って調べてみた。
日経は他に比べてもページビューが劣る上に、有料となった4月以降は3月に比べて落ち込むという特徴を示している。
alexaのデータからは日経がどのくらいの有料購読者を獲得しているかはわかりかねるものの、現在のアクセス状況が経営陣にとっては想定の範囲内なのかどうかは大変気になるところ。
アクセス数が多いと広告収入の観点からも広告主との交渉で優位に立てるが(ユーザー属性によるので一概には言えないけれども)、アクセス数が他の新聞サイトに劣っているのでは広告収入も多くは望めないだろう。
そして、日経の直接のライバルとされるロイターやブルームバーグなどの端末が金融界で1人あたり1台から複数人数あたり1台というように削減されているような状況を見ると、企業からの電子版の購読も期待ほどは見込めないのかもしれない(日経テレコンはどうなのかも気になるところ)。
日経の大きな収益源は広告収入と購読料であり、後者はさらにリアルとネットに分けられるということを踏まえると、今後の日経がどのように経営を進めていくのかは極めて気になるところだ。
既存収益源のいずれかをてこ入れするのか、それとも新たな収益源を築くのか。
新たな収益源は何なのか?
教育?
教育であればパイは大きくないけれどもセミナーとかはやってた筈。
不動産?
何を今さら・・・。
新鮮味は全くないけれど、ぼくとしては記事の質をもっと高めてもらいたい(記事の質が高いのであれば個人的に再び購読したいかも)。
※ここからは電子版かどうかは全く関係なくなります。
では、記事の質を高めるにはどうするか?
日経の記者の教育を強化するのもいいけれど、個人的にはもっと外部ライター(教授や各界の専門家)の活用を進めてもらいたい。
申し訳ないけれど、これまで取材を受けた経験から日経の記者にはあまり期待できない。
1つのトピックを巡って専門家同士が論戦をはったり、週末紙面には1週間分のネット版に書き込まれた個人ユーザーの経済環境に関するコメントを紹介するなんてのも良いかも。
しがたって、日経に必要なのは記者でなく編集者やコーディネーターになるだろう。
日経のライバルのWSJやFTは欧米をはじめとした世界で確たる地位を築いていることは紛れもない事実。
アジアでの勢いも結構強いものの、日経には彼らと異なり地の利がある。
幸い、アジア各国には世界的に確たる地位を築いた経済紙は今のところない。
ならば、限られたパイを相手にした商売をしないで海外に活路を見出す日本の他業種の企業のように、日経もまずはアジアで確たる地位を築いたらどうだろう。
日経のキャッシュ状況などについての調査は割愛するけれども、韓国、中国、香港などの経済紙の買収などを手がけてみるのも意外と面白いのでは。
これくらいの規模の視点とターゲット規模を見込めば、購読者数の増大とそれに伴う広告収入の増大も期待できるかもしれないし、日経がアジアでの新たなメディアコングロマリットとしての地位を築く機会となるのではないだろうか。
記事の質の向上と国外にも目を向けたターゲット層の拡大を、有料配信をきっかけに取り組んでもらいたいなというのがリクエストというか提案ということでいかがでしょうか。