先程のエントリーで、昨日のTBSラジオへの出演について書いた。
放送内で、「泉佐野市がネーミングライツを導入する際、どのようなアドバイスをしますか?」という質問を受けて、これに上手に答えられなかったので補足を。
ぼくはネーミングライツのサポートをしている立場である一方、ネーミングライツはあくまでも施設の運営費などを賄う「手段」の1つであるという立場(この立場を維持しない限り「ネーミングライツを導入すること」が目的となりかねずこれは依頼主に対して不誠実だと認識)なため、「ネーミングライツを導入するかの以前に、再度歳入・歳出を見直し、その中でネーミングライツの導入がベストであれば進むのが望ましい」という旨の発言をした(うまく伝わったかなぁ)。
ただ、後から振り返ると、話を振ってくれた藤木TDCさんの真意はちょっと違って、「ネーミングライツを導入することが本決まりになった場合のアドバイスは?」というものだったのだと振り返り、ちょっとその点を補足したい。
ネーミングライツを自治体が導入する場合。
大概は「財政が苦しいから助けて!」というのが本音だ。
したがって、どちらかというと買い手(スポンサー)よりも売り手(自治体)の立場のほうが弱い。
スポンサーの懐事情が厳しい状況、メリットがわかりにくいネーミングライツを取得するインセンティブはわきにくいし価格交渉でも売り手は立場が極めて弱い。
ここが昨今のネーミングライツの相場が下落している最大の原因だ。
まず、泉佐野市としてネーミングライツを導入するに当たりしなければならないことは何か。
それは媒体である「市」の魅力をきちんと整理して発信すること(これは、ネーミングライツを導入するしないにかかわらず取り組むのが望ましい)。
媒体の魅力を上げることなしには、手を上げてくれるスポンサーは見つからないし、手を上げてもらっても市にとって満足できる金額での提案を受けられるか怪しいところ。
破綻するかもしれない市の名称を取得して破綻でもしようものならスポンサーイメージにもダメージを受けてしまう可能性すらあるのだからなおさらのことだ。
では泉佐野市の良さとは何か。
すぐに頭に浮かぶのが関空の存在。
関空を利用する人は泉佐野市に立ち寄らず、難波や梅田まで出てしまうことは紛れも無い事実。
関空のオープンにより多くの人が泉佐野市に立ち寄るとの淡い期待が、今日の財政状況を招いた原因だ。
関空は関西圏の国際空港ということで多くの外国人が来日する玄関であり、関空と本土とを結ぶ連絡橋に「ようこそ泉佐野市(←ここに新しいスポンサー名が入る)へ」との看板を設置したり、南海線の駅名を変更し路線図にも反映することで露出が期待できるというようなスポンサーにとってのメリットが期待できるし、これらが実現・提供できるように関係者と事前に交渉を行なっておきたい。
南海線の路線図に載せてもらえるのなら、泉佐野市まで足を運ばなくてもスポンサーの名前は難波でも露出できるわけで、広告効果に随分と違いが出てくる。
泉佐野市の人口10万人に露出されるのか、大阪府やその近隣の数百、数千万人への露出されるのでは、スポンサーに与えるインパクトに大きな違いがある。
関空を利用する外国人にも露出されるのであれば、海外での知名度を上げたい企業に魅力的な媒体だともアピールできる。
また、市名称へのネーミングライツ導入は世界でも初めてのケースだと思われるので、取得したら「世界で初めて」と世界的にアピールできるとの魅力もある。
泉佐野市のネーミングライツ導入の目的は苦しい財政状況からの脱却であるため「苦しいから助けて下さい」となりがちだが、「苦しいけれども一方でこんなメリットが期待できますよ」と大いにアピールできるような準備を進めることが大切だ(これは泉佐野市に限らずどこにでも当てはまる)。
市名称へのネーミングライツ導入可能性は市民の意識を市の財政危機状態に向けたという点では見事だが、一方で危機状態は全国に知られるまでになったのだから、日本全国からの厳しい目に泉佐野市の職員の皆さんは晒され苦しい日々が続くだろうけれど見事な復活ができるよう邁進していただきたい。
ちなみに、ぼくの母の実家は泉佐野市の隣で、法事などでは泉佐野市の割烹松屋を利用することしばしば。
泉佐野へ行く際にはぜひ。
はもなどご賞味あれ。