「マネーショート」を観た-デカイ魚が釣りたければ、物事の現実を直視してジョーシキに挑め!


マイケル・ルイス原作の映画「マネーショート」を観てきた。

アカデミー作品賞候補にもあがった作品で、ブラッド・ピットが出演しているからという理由だけで選ぶと痛い目を見る作品。
ぼくが六本木で土曜日の24:45の回を観たからというのもあるけど、終演時に爆睡しているカップルを目にすると、上のような評価をしてしまいたくなる。

ちなみに、ブラッド・ピットは「マネーボール」にも出演したようにマイケル・ルイス原作の映画には積極的に関わっている。

さて、この映画の見所は実話をベースにしていること(マイケル・ルイスの作品はいずれも実話ベースなのがウリ!)。
ゴールドマンサックスや、ドイチェ、モルガン・スタンレー、リーマン・ブラザーズなど実在の金融機関が登場し、彼らが信じる「業界のジョーシキ」の裏をかきビッグマネーを手にする(一方でサブプライムローン崩壊で家を職をそして命を失う人が数百万も発生!)アウトサイダーを追いかける。
アウトサイダーに良識が備わっていること、そしてむしろ「業界のジョーシキ」に縛られ詐欺を働いた金融機関がアホを見るのがこの映画が伝えたいメッセージの1つなのかもしれない。
で、リーマンショックの後、金融業界はどうなったか。

ちなみに、金融機関の名前がわからないと、話についていくのは少々難しいかも。
ベア・スターンズ、メリルリンチなんて出てきても、追いかけられないだろう。
だから、彼女がよっぽどインテリで金融業界のプレイヤーに鼻が利くのでなければこの映画をデートに選ぶのは避けよう。
映画が終わった後に、説明できるのであればまだいいけど、説明できる自信がないのであれば、誘った君が惨めになるかもしれない。
CDSやCDOなど、専門用語は説明が入るものの、それでも一度でもムズカシイと感じたら話しについていけなくなり、眠りの世界へ誘われること間違いなし。

個人的にはMastodon、Metallica、Panteraなどの音楽が大音量で鳴り響くシーンはゾクゾク(「そこ?」とツッコミはナシで)。

Fintechがアツいなど、ビジネスでデカイ獲物を釣り上げるには金融関連であるのはここ数年も続きそうなだけに、早速新たなネタを探す妄想の旅に出発せねば。

もう一度観たい作品。
原書を読みたくなった。

映画の予習・復讐がしたいのであればどうぞ。
世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち (文春文庫)

金融業界を題材にした映画であればこれらがオススメ:

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孤独な大富豪 – フォックスキャッチャー


映画「フォックスキャッチャー」を観てきた。
監督は「マネーボール」でもメガホンをとったベネット・ミラー。

彼は実話を扱わせたら実にうまい。

話はロサンゼルスオリンピックのレスリングで金メダルを獲得したシュルツ兄弟と、彼らの面倒を見る大富豪ジョン・E・デュポンを中心に展開する。
兄と比べて華がなく、内にこもってしまいがちな弟マーク。
マークの父のように接し、家族に囲まれながらレスリングにまい進する兄デイブ。

デュポンは篤志家としてレスリングの発展、そしてオリンピックでの金メダル獲得をコーチという立場から目指すべく、彼ら兄弟をサポートしたいと思い、
二人に声をかけるものの、弟マークだけが彼の元でトレーニングに励む。

時が経って兄マークも合流し、兄弟がデュポンの世話になりながらオリンピックを目指すが、
真の人間の愛情・友情を感じることのないまま大人になったデュポンと兄弟の関係は次第にあらぬ方向へ進み、そして最後は…という形で話は終わる。

マネーボールから感じられたスポーツが持つ爽やかさは微塵も感じられない。
全編通して常に陰鬱な雰囲気が漂い、その雰囲気がデュポンの心情とシンクロしていることが伝わってくる。

内にこもりがちで人と接することが得意でないマークが兄に先駆けてデュポンの元で世話になり、
マークとデュポンが絆で結ばれる様子もどこか妙な不自然さがあり、それが共にそれまでの人生を通じて人との関係がうまく言った来なかったことを如実に示している。

2015年アカデミー賞のいくつかの部門でノミネートされた本作。
日本での興行収入は微妙な結果となりそうだけれども、決して遠くない過去にあった出来事、そして人と人の関係や生き方を考える上で観てみてはどうだろう。