本レポートは AI Overviewコラムシリーズ の調査記事です。
本レポートでは、B2B検索100クエリを分析し、GoogleのAI Overview(以下、AIO)がどの検索で表示されやすいのかを調査した内容を報告する。
当社が開発したAIO分析ツール「AIO Radar」を用いてB2B領域の主要デジタルテーマ100クエリを分析したところ、検索意図によってAIOの表示率に大きな違いがあることが確認された。
- 定義検索(〜とは):表示率91%
- 整理検索(〜違い):表示率31%
- 比較検索(〜比較):表示率24%
特に「◯◯とは」などの概念理解を目的とする検索ではAI Overviewが高確率で表示される一方、製品比較を目的とする検索では表示率が低い傾向が見られた。
AIOとは
AIOとは、Google検索結果に表示される生成AI回答機能である。検索結果の上部にAIが生成した回答を表示し、複数のWebページの情報を統合して要約する仕組みである。
ユーザーはAIによる回答を確認したうえで、引用元となるWebページへアクセスすることができる。
GoogleによるAIOの定義は以下の通り(( )内は弊社訳)。
AI Overviews help users quickly understand topics by synthesizing information from multiple sources.(AI Overviewは、複数の情報源から情報をまとめることで、検索ユーザーが検索トピックを素早く理解する支援を行う)
調査背景
生成AIの普及と検索行動の変化
最近は生成AIの普及により、情報検索の方法が以前のような検索エンジン頼みの状態から多様化している。
2025年にサイバーエージェントが実施した調査によると、情報検索の際に生成AIを利用する国内ユーザーは31.1%に達し、半年で約1.5倍に増加したと発表している。
また、コーネル大学で発表された論文によると、新型コロナウイルスに関する生成AIを介した2024年時点での検索は全検索の1%にとどまった一方、2025年には66%に達したとのことからも世界的に生成AI経由での検索が増えていることがうかがえる。
たとえば、対話型AIを利用した検索では、
- 質問形式で情報を取得できる
- 複数の情報を要約して回答する
- 追加質問によって理解を深める
といった特徴があり、従来の検索とは異なる情報取得体験が提供されていることは、既に生成AIを利用していれば納得できることだろう。
依然として中心はGoogle検索
上記のように検索が生成AI経由で増えているとは言え、検索の主流が完全に生成AIへ移行したわけではない。
検索エンジンシェアの約9割を占めるGoogleとChatGPTの検索規模を2025年時点で比較すると、Googleが約137億件であるのに対しChatGPTは25億プロンプトが送信されているという事実があり、依然としてGoogle検索が数倍規模で利用されていることが理解できる。
Google検索のAI化
こうした変化の中、Google自ら検索体験のAI化を進めており、検索結果の上位に生成AIによる回答を示すAI Overviewを2024年から導入している。
AIOの導入により、従来の検索結果ページの構造は変化し、ユーザーは検索結果をクリックする前に、AIが生成した回答を確認することが可能となった。これはGoogle広告やSEOを介し情報よりも上位に表示されることから、コンテンツを提供する立場としてはAIOに取り上げられるかどうかは自社の認知向上の観点から重要なものへとなっている。
本調査の目的
生成AIによる検索が増加している事実がある一方、多くのユーザーは未だにGoogle検索を利用している。
こうした背景から、
- どのような検索でAI回答が表示されるのか
- どのような検索では表示されないのか
を把握することは、今後のWebコンテンツ戦略を考えるうえで重要なテーマであるとの認識から、B2B領域の主要デジタルテーマ100クエリを対象に、AIOの表示傾向を分析した。
調査概要
調査は以下の通り実施した。
調査対象・検索意図分類
BtoB領域の主要デジタルテーマ100クエリを対象にAIOの表示有無を調査。
| 検索タイプ | 説明 | クエリ例 |
|---|---|---|
| 定義 | 概念を理解する検索 | CRMとは 生成AIとは |
| 整理 | 概念の違いを整理する検索 | CRMとSFAの違い DXとIT化の違い |
| 比較 | 製品やツールを比較する検索 | CRM比較 SFA比較 |
調査実施日
2026年3月4日(水)20:00〜22:00
調査方法
本調査では、AIOの表示状況を確認するため、当社が提供するAIO分析ツール「AIO Radar」を使用して調査を実施した。AIO Radarは、Google検索(シークレットモード・日本語環境)結果におけるAIOの表示状況や引用サイトなどを確認できるツールである。現在は、AIO Radarを用いた無料調査代行サービスを提供しているので、ご興味があれば申し込んでほしい。
調査結果
調査した100クエリにおけるAIO表示率は以下の通り。
定義検索では40クエリ中37クエリでAIOが生成されているのを確認できた。
一方、整理検索では35クエリ中11クエリ、比較検索では25クエリ中で6クエリしかAIOが確認できず、検索意図に寄ってAIOの表示率に大きな差があることが確認できた。
調査の結果、AIOの表示率は検索意図によって大きく異なり、特に定義検索で高く、比較検索で低い傾向が確認された。
| 検索タイプ | 調査数 | AIO表示件数 | 表示率 |
|---|---|---|---|
| 定義 | 40 | 37 | 91% |
| 整理 | 35 | 11 | 31% |
| 比較 | 25 | 6 | 24% |

分析
検索意図とAI回答の関係
今回の調査では、検索意図によってAIOの表示率に明確な差が確認された。検索意図を情報探索プロセスとして整理すると
概念理解 -> 概念整理 -> 意思決定
の3段階に分けることができる。
今回の結果は、この検索意図の段階とAIOの表示傾向が関係している可能性を示している。
AI回答の構造
AIOの回答は、複数のWebページを参照しながら生成される要約回答である。しかしAI回答には構造的な特徴がある。それは、単一の説明としてまとめやすい内容を得意とする点である。
例えば
CRMとは、BIツールとは
といった検索では、概念の説明を一つの文章としてまとめることができる。
一方で
CRM比較、MAツール比較
といった検索では比較対象として
- 機能
- 価格
- 評価
など複数の判断軸が存在するため、AIが単一回答を提示することが難しい可能性がある。
SEOとの構造差
従来のSEOでは、ユーザーは検索結果から複数の記事を閲覧しながら情報を収集してきた。特に比較記事やランキング記事は、意思決定を支援するコンテンツとして重要な役割を持っている。
一方AIOは、検索結果ページ上でAIが要約回答を提示するため、ユーザーが記事を読む前に概念を理解できる可能性がある。
検索体験は次のように整理できる。
| 検索体験の流れ | |
|---|---|
| 従来検索 | 検索 -> 記事閲覧 -> 比較 -> 意思決定 |
| AI Overview | 検索 -> AI回答 -> 概念理解 |
まとめると、従来のSEOは「探索と比較」を担う一方で、AIOは「理解」を担うという構造差がある可能性があるといえる。
検索ファネルとAIO
検索行動はマーケティングの観点では「検索ファネル」として整理される。
検索ファネルは一般的に
認知 -> 検討 -> 比較・選定
の3段階で構成される。今回の調査結果をこのファネルに当てはめると、AIOは特に 認知段階(定義)の検索で強く表示される可能性があることがわかった。
| 検索段階 | クエリ例 | AIO表示傾向 |
|---|---|---|
| 認知 | CRMとは 生成AIとは |
高い |
| 検討 | CRMとSFAの違い DXとIT化の違い |
中程度 |
| 比較 | CRM比較 SFA比較 |
低い |
上のように整理すれば、AIOは検索ファネルの上流、すなわち認知・理解段階で強く機能する可能性があると言えるだろう。
SEO・コンテンツ戦略への示唆
さて、本調査では、AIOの表示傾向が検索意図によって大きく異なることが確認された。この結果は、今後のWebコンテンツ戦略において「どの検索でAIが回答しやすいのか」 を前提にした設計が必要になる可能性を示している。
特にBtoB領域では、次の3点が重要になると考えられる。
①定義コンテンツの整備
AIOは、概念説明を目的とする検索で高い表示率を示した。
そのため、
- 用語定義
- 基礎知識
- 概念解説
といったコンテンツを体系的に整理することが重要になる可能性がある。
これまで比較記事やランキング記事が中心だったサイトでも、「まず理解させるコンテンツ」 の役割が今後さらに重要になる可能性がある。
②比較コンテンツの役割の再整理
一方、比較検索ではAIOの表示率は低かった。この結果は、製品比較やサービス選定の領域では、依然としてWebコンテンツの役割が大きいことを示している。
特に
- 詳細比較
- 導入検討
- 意思決定支援
といったコンテンツは、今後も検索流入の重要な入口となる可能性がある。
③AIに理解される構造設計
AIOは既述の通り、複数の情報を統合して回答を生成する仕組みである。そのため、今後のコンテンツ設計ではAIが理解しやすい構造を持つコンテンツがますます重要となってくる。
具体的には、
- 明確な定義
- 整理された情報構造
- FAQ形式の説明
などである。
これは従来のSEOとは異なり、検索順位だけでなく情報構造そのものが評価対象になる可能性を示しており、単に検索順位を上げる努力だけでは不十分であることが理解できるだろう。
*表示傾向だけでなく、実際にAI Overviewに引用されない理由を構造面から確認したい場合は、第2回の「なぜあなたのサイトはAI Overviewに引用されないのか?構造と可視化の問題を解説」も参考になる。
まとめ
本調査では、BtoB検索100クエリを対象にAIOの表示傾向を分析した。
その結果、AIOはすべての検索で一様に表示されるわけではなく、検索意図によって表示傾向が大きく異なることが確認された。特に、概念理解を目的とする定義検索の表示率が高く、製品比較を目的とする比較検索では表示率が低い傾向が見られた。
今後のWebコンテンツ戦略では、検索順位だけでなく、AIが理解しやすい情報構造を設計することが重要になる可能性がある。
FAQ
AIOとは何か
AIOはGoogle検索結果に表示される生成AI回答機能である。
AIOはどの検索で表示されるのか
本調査では、概念理解を目的とする検索(〜とは)で表示率が高く、比較検索では表示率が低い傾向が確認された。
AIOはSEOに影響するのか
AIOが表示される場合、検索結果の最上部にAI回答が表示されるため、従来の検索結果のクリック率に影響する可能性がある。
AIOに引用されるにはどうすればよいのか
AIが理解しやすい構造を持つコンテンツが重要と考えられる。具体的には
- 明確な定義
- 整理された情報構造
- FAQ形式の情報
などである。
次のステップ
自社への影響を分析するには
本レポートは、BtoB検索全体でのAIOの表示傾向を示したものである。 しかし実際に重要なのは、自社が狙うクエリでAIOが表示されるのか、 その中で自社コンテンツがどのように評価されるのかを把握することである。
AIO Insightsは、クエリ単位でAIOの表示傾向と構造要件を分析し、 「どのクエリで戦うべきか」「どの改善を優先すべきか」を整理するための分析サービス(有料レポート)である。
- 自社が狙うクエリでAIOが表示されるかを把握する
- 表示される場合、どの構造が求められているかを分析する
- 改善の優先順位を整理し、次にやるべきことを明確にする
市場全体の傾向を踏まえたうえで、自社の勝ち方を具体化したい企業向けに提供予定。
