この記事は AI Overviewコラム一覧(評価構造シリーズ)の第2回である。
第1回の「GoogleのAI OverviewでSEOの前提はどう変わるか?評価構造の変化を解説」では、GoogleのAI Overview(以下「AIO」)の登場によって、評価の重心が「順位」から「構造」へと移行しつつあることを整理した。
今回は、その延長線上で、「なぜ良い記事なのに引用されないのか」という実務上の疑問に対し、事実に基づいて構造的に解説する。
結論
AI Overviewに引用されない理由は、単純な順位の問題ではない。
多くの場合、それは「1. 前提条件の未充足」「2. 回答構造の不備」、そして何より「3. 現状の不可視化」に起因している。
とくに3点目の“見えないこと”が、AIO時代における最大の盲点である。
1. AI Overviewは単なる上位表示の延長ではない
まず前提として理解すべきは、AI Overviewの生成構造である。
従来の強調スニペットは単一ページの一部を抜粋する形式が多かったが、AI Overviewでは複数ページを参照し、それらを統合して回答を生成する仕組みが採られている。
この点についてはSEO業界でも繰り返し指摘されている(Marketing Insider Groupより)。
つまり、評価は「何位か」ではなく、「再構成可能な要素を持っているか」に移っている。
さらに重要なのは、AI Overviewの元データはGoogle検索のインデックス済みページであるという事実である。
インデックスされていなければ、そもそも引用候補にすらならない(Search Engine Landより)。
ここまでが最低条件。
2. Search ConsoleではAIOの実態が見えない
現時点で Google Search Console には、AI Overview だけの掲載・引用データを分離して確認できる専用レポートは存在しない。
表示回数やクリック率は確認できるものの、それが AI Overview 経由のものかどうかを区別することはできない。
その結果、次のような現象が起こりうる。
- 順位は落ちていない。
- クリック率も極端に悪いわけではない。
- それでも成果(トラフィックやコンバージョン)が伸びない。
このとき、背後で起きている可能性として考えられるのは、
AI Overview 領域では他社コンテンツが「答えのポジション」を押さえている
という状態である。
しかし、この状況を Search Console だけから正確に読み解くことは難しい。
ここに、AI Overview 時代特有の構造的な盲点が存在している。
3. 引用されない典型的な構造
では、なぜ引用されないのか。
多くのケースでは、内容の質ではなく「構造」の問題が影響している。
AI Overviewは“問いに対する回答”を生成する。
そのため、問いに対する明確な結論が冒頭に提示されていないページは、再構成の起点を持たない。
導入が長く、結論が後半に埋もれている構成は、人間には丁寧でもAIには扱いづらい。
また、「〜とは何か」という定義が独立して明示されていない場合も同様である。
定義はAIにとって抽出のフックとなる。
これが曖昧であれば、引用は起こりにくい。
さらに、段落が長く、論点が混在している文章は意味単位で分解しにくい。
AIはページ全体ではなく、再利用可能な“意味ユニット”を扱う。
そのため、見出しによる整理、段落ごとの完結性、比較や手順の明示といった構造が重要になる。
4. 従来SEO指標と引用評価は一致しない
最も誤解されやすいのが、「検索パフォーマンスが良ければ引用されるはずだ」という発想。
良い検索順位や被リンク評価、クリック率はWebページとしての評価である。
だがAI Overviewは、AIによる回答生成評価である。
したがって、
検索順位が高く、従来指標が良好であっても、それは”リンクとして評価されている”という意味にすぎない。
この評価軸のズレを理解しなければ、改善の方向性を誤る。
| 従来のSEO | AI Overview評価 | |
|---|---|---|
| 評価対象 | ページ全体 | 抽出可能な部分 |
| 主な指標 | 順位・CTR・被リンク | 再構成可能性 |
| 成果の見え方 | Search Consoleで把握可能 | 専用レポートツールなし |
| 改善アプローチ | 記事改善 | まず可視化 |
評価軸が異なる以上、確認方法も変わってくる。
5. なぜ“良い記事”でも出ないのか
実際に起きているのは、「内容は良いのに出ない」という現象である。
その多くは、文章の質ではなく構造の問題である。
文脈が断片的であったり、主語が曖昧であったり、定義が抽象的であったりすると、AIは再構成しづらい。
文章は丁寧、文章は正確、けれどもそれが”答え”として独立していない。
AI Overviewは文章全体の出来を評価しているのではない。
再利用可能な構造を評価している。
人間にとって読みやすい文章と、AIにとって再利用しやすい文章は、必ずしも一致しない。
AI Overview時代では、読みやすさだけでは足りない。
再利用可能であることも求められるのだ。
6. だからこそ可視化が必要である
改善は常に、
現状把握 → 差分発見 → 優先順位付け
の順で進められる。
しかしAIOでは、出発点の“現状”が見えない。
自社が引用されているのか。
どのサイトが引用されているのか。
どの構造が採用されているのか。
これを把握しないまま改善を行うのは、地図を見ずに進むようなものである。
だからこそ、まず必要なのは可視化である。

7. まとめ
AI Overviewは単なる検索順位の延長ではない。
それは再構成型の回答生成であり、評価軸は「順位」から「構造」へと移りつつある。
そして最大のリスクは、何が起きているのかが見えないことである。
だからこそ、可視化が必要である。
8. よくある質問(FAQ)
Q1.AI Overview対策は通常のSEOと何が違う?
従来SEOは検索順位とクリック率が中心だった。しかし、AI Overviewでは「引用される構造」が重要となる。順位が高くても、抽出されないページは評価されないようになってきている。
Q2.AI Overviewに表示されない原因は?
定義が曖昧、構造が整理されていない、文章が冗長で抽出しづらいなどが主な原因である(原因はSEO同様に流動的)。AIにとって、記事が「使える形」に整っていないケースが多い。
Q3.順位が高いのに引用されないのはなぜ?
順位と引用は別の評価軸である。AI Overviewは「答えとして再構成できる文章」を優先するため、構造設計が重要となる。
9. 今やるべきこと
対策の前に、まず確認である。
自社の重要キーワードを選び、実際にGoogle検索を行い、AI Overviewが表示されるかを確認する。表示される場合は、自社が引用されているかどうかを確認する。そして引用されていない場合は、引用されているページの構造を観察する。
- 定義の提示方法。
- 結論の置き方。
- 箇条書きや比較の有無。
そこに必ず差分が存在する。
10. AIO Radarの位置づけ
AIO Radarは、Google検索におけるAI Overviewの表示状況と引用の手がかりを一次調査として可視化するツールである。
重要なのは、改善の前に現実を確認することである。
構造を変える前に、まず構造の現状を把握する。
改善の前に現状を確認する。
それが、AIO時代に最も合理的かつ現実的な出発点だ。
Google AI Overviewの表示状況をAIO Radarで確認する
AI Overviewの評価構造を体系的に理解するなら、シリーズ一覧も参照。
11. AI Overviewの定義(要点まとめ)
GoogleのAI Overviewとは、検索結果画面上で生成AIが複数サイトの情報を抽出・再構成し、要点を提示する表示形式。
評価の中心は「順位」ではなく、「答えとして使われる構造」に移りつつある。
